ブックショップ ストーリー

「幽霊にもできないことなのよ。好きだなんてとても言えない…」

こどもの頃から本が大好きだった想像力豊かで、とっても内気な女性ジェーン。ようやく夢がかなって素敵な本屋さんのオーナーになりました。
しかし、そこは怖いウワサのためにお客さんが全くよりつかない本屋さんだったのです。

ある日、ジェーンの前にこの本屋さんのかつてのオーナーと名乗るヴィクターが現れます。彼は、ウクライナから来た美しい女性、ペトラへの想いを口に出来ないままに死んでしまった“幽霊”でした。
ヴィクターは、もうすぐやって来るペトラのこの世での最後の日までにペトラへの想いを書き上げないと本当に成仏できなくなってしまう運命。ところが、想いを綴った大切な本がどこかへ紛れてしまい、必死に探し続けているのです。

一方、ジェーンは隣りのチョコレート屋さんのサミュエルが気になっているのですが、内気ゆえに告白するどころか話すこともままなりません。
そんなジェーンをヴィクターは、かつての自分と同じ間違いをさせてはならないと、勇気を出して告白させるべく説得を開始。

ようやく、ジェーンがサミュエルに告白をしたとき、ヴィクターもペトラへの想いを告げることができ、2組はそれぞれ結ばれます。

まさしく、ファンタジーの王道のハッピーエンドですが、ご都合主義の終わりよければすべてよし、ではなく、4人が素直に感じたままに、生きたからこその結末です。初演時には、客席で数多くの方がハンカチを手にしている姿がみうけられました(女性ばかりでなく、意外にも、中高年の男性にもかなりの方が)。

ジェーン(現在)とヴィクター(回想/過去)の時間軸が、様々に絡み合いながら進んでいく展開と舞台美術が織りなすハーモニーは、あたかも飛び出す絵本を観ているようです。

ほんの少しの勇気が運命を変える、ステキな恋の物語です。